生保業界と職業会計人の関係を揺るがす大事件が明るみに出た。
事の発端は、昨年の12月に経営破綻した、金融会社「信和総合リース」(東京都千代田区)の複数のグループ代理店が関与して、提携税理士などと結託して、中小企業経営者らに「保険料を立て替える」などと持ちかけて高額な保険契約を結び、販売手数料を得ていたとされる。
その中には、保険料を立て替えてもらっているのに自社の資金で払ったことにして損金処理し、税金を不正に少なくする手法も採られていたというから厭きれた話だ。
このブログの読者の中には、何のことやらサッパリ…。
と、理解できない方も多いと思われるので簡単に解説しますと、この事件に用いられた保険商品は、一般庶民(個人)が加入する通常の死亡や医療保険ではなく、節税型に変形された金融商品で、法人税のカラクリを逆手にとって、利益が発生している企業収益から保険料を「損金」として全額または2分の1の額を控除して申告できるもので、節税効果が発生するだけでなく、加入時の実効税率と将来解約時に受け取れる「解約返戻金」の差が表に出ない利益として読めることから、法人の「企業防衛」を目的とする節税商品として、多くの税理士やFPが用いている手法なのである。
保険代理店にして見れば、保険料も高額になることから、そのまま手数料にも遡及してくるが、意に反して早期解約が発生した場合などには、手数料の戻し入れも発生するので「禁断の果実」にも相当するものだと警戒する税理士も多い。
まともな税理士なら、現在は合法だったとしても、いつ法の網をかぶされ、この商品が節税効果を失うことも予測されるので、慎重に対応しているはずだ。
また、その後のニュースで、今回は税理士の全国組織である日本税理士会連合会(日税連)の前会長(78)とその親族が関与していたことが分かったので、今後の展開次第では、社会問題化しないとも限らない。
しばらく、静観して見て行きたいと思っている。
〈朝日新聞報道より抜粋〉
企業向け生保不正1万件 アクサ代理店、100億円利益
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仏保険大手アクサグループのアクサ生命保険や三井住友海上火災保険グループの生保を相手に、企業向けの不正な保険契約が大規模に結ばれていたことがわかった。生保から払われる多額の販売手数料を目当てに、代理店が企業の名義を借りて契約を結び、一時的に保険料を立て替えたうえで早期に解約していた。不正契約数は1万件超、代理店側が得た手数料は100億円規模になる。
保険料の立て替えといった特別の利益を契約者に与えることは、契約の公平性や不正防止の観点から保険業法で禁止されている。1万件を超す不正契約は過去最大規模で、金融庁も調査を始めた。
アクサ生命や三井住友海上きらめき生命などによると、不正契約をしていたのは08年12月に倒産した金融会社「信和総合リース」(東京都千代田区)の複数のグループ代理店。関係者によると、代理店は中小企業経営者らに「保険料を立て替える」などと持ちかけて高額な保険契約を結び、販売手数料を得ていた。契約が増えるほど手数料は上乗せして支払われる仕組みだった。中小企業に代わって契約を管理し、3年前後で早期解約、解約返戻金も手にしていた。こうして得た資金を別の契約の保険料に回し、契約数を急速に伸ばしていった。
名義を貸した中小企業の中には、「謝礼」として信和側から数十万円程度を受け取っていたケースがある。保険料を立て替えてもらっているのに自社の資金で払ったことにして損金処理し、税金を不正に少なくする手法も採られていたという。
信和側は全国の複数の税理士と提携。顧問先の中小企業を紹介してもらい、契約が成立すると税理士に紹介料を払っていた。関係者は「税理士も不正契約を知りうる立場だった」と指摘している。
信和関連の契約は02年ごろから結ばれ始めた。契約数はきらめき生命が人数ベースで2千件、払った手数料は19億円。アクサ生命は「調査中」としているが1万件、100億円近くに達する模様だ。アクサ生命は一般企業の売上高に相当する保険料等収入が、08年3月期で6645億円ある準大手。「不正契約による手数料などの損害は小さくないが、経営への直接的な影響はない」としている。
きらめき生命は、信和グループを通じた契約の99%が早期解約されたことから、07年に不正に気づいた。信和側に渡った販売手数料と解約返戻金の合計から保険料を差し引いた、約3億6千万円の返還を要求。信和側が半額を返金することで08年3月に和解した。アクサ生命は、信和グループの綱渡りのような資金繰りが08年夏に行き詰まり、保険料の支払いが滞り始めてから、不正に気づいたという。
アクサ生命は「不正に積極的に関与していた」として部長級社員1人を08年11月に懲戒解雇、上司の執行役員2人も責任をとって12月に退任したとしている。解雇された元社員は取材に対し「信和関連の契約数を増やすことは、所属部署の営業成績を伸ばすために役員ら上司の指示で行った」と証言している。
ほかにもアクサグループのアクサフィナンシャル生命や日本生命など10社以上の保険会社が、信和側と販売契約を結んでいた。金融庁の指示で、各社は不正契約がなかったかどうか調べている。
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*追記事
不正契約の代理店、税理士連前会長と親族が役員に
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企業向け保険で大規模な不正契約が発覚した「アクサ生命」などの販売代理店の経営に、税理士の全国組織である日本税理士会連合会(日税連)の前会長(78)とその親族が関与していたことが分かった。役員に名を連ねていたうえ、代理店グループ側に少なくとも5億5千万円を貸し付けていた。この資金は12%の金利付きで返却される予定だったという。
取材に対し、前会長は役員就任などについて「形式的なものだった」と強調。保険業務との関係を否定する一方で貸し付けは認めている。
アクサ生命などの保険で不正契約をしていたのは、経営が行き詰まり08年12月に破産した金融会社「信和総合リース」グループ傘下の複数の代理店。同社の資産を査定した事業再生コンサルタント会社によると、代理店も事実上、信和総合リースの創業者だった元社長(08年10月に死亡)が経営していたという。
日税連の前会長が関与していたのは、こうした代理店のうちの一つで、08年5月まで京都市に本店があった「みやこ保険センター」。登記簿などによると、前会長は同社の監査役を務めた後、06年3月から08年4月まで代表取締役に就任。前会長は07年7月まで10年間にわたり日税連会長を務めており、代表取締役就任時は現職の会長だった。同社の役員には、前会長の妻ら複数の親族も就いていた。
前会長は取材に対し、役員だったことは認めたが、「(信和総合リースの)元社長から頼まれ形式的に就いただけだ」などと説明。さらに「私は保険のことには全くタッチしていない。すべて元社長がやっていた。元社長は『保険を通じて信和総合リースに金を回したい』と言っていたが、何のことか分からなかった」と話している。
しかし、朝日新聞が入手した信和総合リースの破産手続き関係の資料によると、前会長は自分の名前や関係会社名義で、同社側に少なくとも計5億5千万円を貸し付けていたことになっている。金利12%の契約だったとみられるが、同社の破産により回収は難しい状況だ。貸し付けについて前会長は「元社長から応援してほしいと頼まれ、数年前に資金を出した」と言っている。
一方、民間信用調査会社や複数の税理士によると、信和総合リースは、全国の税理士事務所や会計事務所と提携。税理士の顧問先企業が、節税や福利厚生目的で保険契約を結ぶ際に保険料を融資する事業を行っていたとされるが、前会長は「私が紹介したことはない」として顧問先などへの紹介を否定している。
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